★個別支援計画の「原案」に利用者のサインが要る?★
実地指導において、「個別支援計画の不備による返金処分」の事例が、全国各地で頻発しています。・・・中には数億円の処分事例まであります。
ところで、個別支援計画については、計画そのものだけでなく、「一連の業務」に着目して、そこに不備あれば、処分されます。
「①アセスメント・モニタリング」→「②原案」→「③担当者会議(議事録)」→「④個別支援計画・成案」
という、一連の作業と、それぞれに対応する書面の存在です。
ここで、最近、「②原案」にまで利用者のサインが必要と、指摘してくる市町村担当者もいます。・・・基準省令にそのような規定が確かに存在するのですが、現場感覚からすると、すごく不自然な印象が否めませんよね・・・。行政担当者も、少なからず違和感を感じながらも、基準省令に規定ある以上、言わないとしょうがない・・・、そんな悩みが見え隠れすることもあります。
ちなみに、基準省令も、例えば療養介護や就労継続支援などの「障害者」分野の記載では「原案に文書で利用者の同意を得る」という文言なのですが、なぜか、障害児通所の「障害児」の分野の同趣旨の記述では、「計画に文書で利用者の同意を得る」との文言になっており、むしろこちらの方が自然でしっくりくると思います。
そもそも、「原案に対しては担当者会議で意見を求める」とされており、ブラッシュアップ(微修正など)を想定しているのですが、そのような不確定な書面に利用者のサインを求める趣旨がいまいちしっくりこないし、「モニタリング」→「原案サイン」→「成案サイン」と、3回も利用者を煩わせるのは、いかにも現場のリアリティがなさすぎるという事業所サイドの素朴な違和感も噴出する傾向にあります。
とは言え、たった、それだけのために「巨額の減算」になるリスクを思えば、保険だと思って割り切って、「原案」にも利用者のサインをもらっておく・・・、という「大人の割り切り」で対応する事業所さんも多いですね。
以下、基準省令より・・・参照
【障害者・分野】
・・・サービス管理責任者は、療養介護計画の作成に係る会議(利用者に対する指定療養介護の提供に当たる担当者等を招集して行う会議をいい、テレビ電話装置等を活用して行うことが出来るものとする。)を開催し、前項に規定する療養介護計画の原案の内容について意見を求めるものとする。
・・・サービス管理責任者は、第4項に規定する療養介護計画の原案の内容について利用者又はその家族に対して説明し、文書により利用者の同意を得なければならない。
【障害児・分野】
・・・児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画の作成に当たっては、障害児に対する指定児童発達支援の提供に当たる担当者等を招集して行う会議(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という)を活用して行う事ができるものとする)を開催し、児童発達支援計画の原案について意見を求めるものとする。
・・・児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画の作成に当たっては、通所給付決定保護者及び障害児に対し、当該児童発達支援計画について説明し、文書によりその同意を得なければならない。
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