1.放課後等デイサービスにおける「児童発達支援管理責任者」や「指導員」の要件加重の件

サービスの質の向上等の目的は良いと思いますが、あまりに急な制度変更に、改正前から事業を開始していた事業所では混乱が生じています。

例えば児発管については、従来は高齢者介護の事業所内での経験でも、職務内容によっては実務経験として認められていたところが、今回の改正で、最低3年間は障害福祉等の経験に限定する事となったわけですが、放課後等デイサービスの指定当初からの児発管が継続して勤務してくれていたとしても、指定の時期によっては、H30.3.31までにこの要件を満たすことが出来ず、30%減算を甘んじて受けなければならない、避けられそうにない、という事業所が、多発しています。

30%減算を避けるため、新たに要件を満たす児発管を探すものの、そう簡単には見つかりません。ただでさえ厳しい要件ですし、ましてや現在の雇用情勢は経営者には厳しく、極度の人手不足です。

そんな中でも、どうにか要件を満たす人間が雇えたとしても、さらなる問題に直面します。現に雇っている児発管や指導員を、そのまま雇用し続けるほどには、経営は楽ではなく、過剰な人件費を抑えるために、従来から雇っていた人間の内から、誰かに辞めてもらわなくては、経営が立ち行かなくなる・・・とうい問題です。かと言って、軽率に解雇すれば、労働問題にも発展しかねません。

また、スタッフさんの側でも、「30年3月で私はお払い箱になるのではないだろうか、失業するのではないだろうか・・・」と、ずっと心配している方々もいらしゃいます。

せめて、あと1年でも、経過措置を延長してくれたなら、かなりの数の事業所も救われるのでしょうが、このまま予定通り、H30.3.31で経過措置が終了すれば、大混乱は避けられないと思われます。

適正な運営ができていない事業所を排除することは、むしろいいことであると思いますし、要件厳格化や実地指導での厳しい指導も、良いことだと思います。

ただ、今回の要件厳格化についての経過期間の短さは、ちょっと厳しすぎるように思えてなりません・・・。

2.就労Bの目標工賃達成加算Ⅲの件

この加算を算定するための要件の1つに、「”前年度”の当該・都道府県の就労継続支援B型事業所の平均工賃(上位と下位の25%は除く)」を参照するわけですが、毎年4月の段階でこの加算についての変更届などを行おうにも、現実には提出ができない。

というのも、都道府県も、事務処理上、4月1日時点で、すぐにはこの集計が出せない・・・それもそのはず・・・4月以降に各事業所から報告を受けて、それを集計するわけですが、全事業所から情報をきちんと集めるにも時間がかかるでしょうし、さらにそれを適正に集計する作業も、様々な業務を限られた人数でこなしている行政担当者にしてみれば、かなり手間と時間を要することです。

結果、たいていは8月もゆうに過ぎて、秋口になってようやく前年の平均工賃が行政ホームページで発表されます。そこから、「用意、スタート!!」で、たいていは1ヶ月以内に「加算に変更があれば変更届をして下さい。そうすれば、4月に遡って算定できます・・・」となるわけです。

事業者も、年中、ホームページを見ているわけではないので、見落とすことも多いですし、また、新たに加算を取るにしても、あるいは、加算を取り下げるにしても、「4月に遡っての国保請求の過誤処理」という作業が待っています。

以上のように、この加算制度自体に、もとから「煩雑な様々な作業」を内包しており、現場の作業をあまり想定していないように思えてなりません。

次回の制度改正でも、様々な加算制度の変更が予定されているようですが、事業者側や各市町村(行政側)などの現場の作業も想定した、現実的な制度を出来る限り作成して欲しいと期待するばかりです。実際には、厚労省の担当者も、限られた人数で各方面の意見を取り入れ調整してやっており、それらのすべての意見を形にするのは、かなりの難作業であることは容易に推察されますが、頑張って欲しいと思います。